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初心者のためのデザイン雑学 ホーム » 
東京でデザインスクール在職中は生徒からの質問を中心に書いていましたが
引退後はお休みしていました。
最近、デザイン初心者の方からの質問を頂き、
初心者の方が必要最低限の知識を編集・掲載してみようと思います。

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プロとアマの境界がなくなっていると言うが?

何度も何度も同じ様な話をして申し訳ありませんが、プロはこんなことヤラナイを知ってほしいです!
欧文のサンセリフ書体の「S」や「O」「G」「U」など丸い部分が少しはみ出ているのも同じ高さに見える様にするためです。
デジタルで制作する様になってからグラフィックデザイナーの中にはソフトが自動的に揃えてくれるのでソフトに頼りすぎてその意識が昔ほどではなくなっているかも知れません。
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Adobe Illustratorでは発売当初から揃える機能があります。
「VISUAL」「DESIGN」をそれぞれグループ化し「整列」で左端に揃えると「V」と「D」の左端がきちんと揃ってしまいます。
これできちんと正確な仕事をしたと思っていてはデザイナーとしては情けないです。
上の「VISUAL」「DESIGN」の様に1行目の先頭に「V」や「A」など左端が尖っていたり「T」など下に空間がある1行目と、2行目の先頭に「D」や「B」など垂直線が左端にある場合、左端をきちんと揃えると「V」や「A」や「T」が内側に入って見え、揃って見えません。
これらも揃って見える様に調整する必要があります。
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どれくらいはみ出させるかはその人のセンスですが「V」が全くはみ出ていないのは問題です。
デザイナーとしては基本中の基本で当然の能力として持ち合わせていて欲しいです。
上記は、太さの半分ぐらい左にはみ出ていますが個人的にはこれぐらいで良いと思います。
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「目分量」の精度

いまの若いデザイナーは最初からデジタルで制作ですが
グラフィックデザインがデジタルで制作する様になって30年位かな?

33年前、私が初めてMACを購入したのは「IIcx」、それから2年ほど経った頃、少しずつDTP環境も整い始めました。
最初はフォントも少なく、今の様にデーターをそのまま印刷会社に入稿するスタイルではなく、イメージセッターで印画紙出力したものに写植を貼って、色指定をして入稿していました。

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その頃、例えば表組の高さ5mmの罫線の真ん中に写植の文字を貼付ける場合、新人は定規で測ろうとしました。
また左右の傾きも三角定規で切り口を水平に合わせようとしました。

ベテランはこの作業を定規を使わずに「目分量」や「目感」でやります。
例えば文字と罫線の間を0.8mmアキにするなど、1mm単位の定規では測れないので「目分量」や「目感」に頼るしかありません。
写植の文字を正確に水平にカットしていなければ三角定規でカット面を合わせても水平にはできません。
「目分量」や「目感」に頼るしかありませんが、問題なのは「目分量」の精度です。

言い換えれば、デザインの仕事は中央に揃えるとか、左に揃えるとかではなく、揃って見える様にするのが仕事です。
上の「DESIGN」の文字も若干少し上に配置することで真ん中に見えます。

「目分量」を辞書で調べると
「目で見て、大体の分量をはかること。また、その分量。」などと書いてあります。
「大雑把」とは違います。
「大雑把」を辞書で調べると
「細部にまで注意が届かず、雑であるさま。」などと書いてあります。

グラフィックデザインの世界で「大雑把」はいけませんが「目分量」や「目感」の精度は大切です。
料理にも「目感」とか「さじ加減」などと言いますが真ん中に見える様にするための「さじ加減」が必要です。

1字下げは、インデントで

文章の1字下げを、先頭にスペースを空けてもできますが、インデントでの方法をぜひ覚えてください。
インデントで設定し、段落スタイルに登録しておけば級数が変わっても、段落スタイルを編集すれば全てが一度に変更できます。プロになるためにはぜひ覚えてください。

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例として16級の文字を、1字下げの場合には段落の左側2番目の「1行目左インデント」に文字の大きさ「16Q」または「16H」と入力します。
例えば、単位が「point」になっていても「mm」になっていても自分が「級」の単位で仕事をしている場合は、「16Q」と入力すれば「16級」の大きさになります。詳細は下記を参考にしてください。
段落スタイルに登録しておくのも便利ですが、ダミーで2~3文字を先に入力して、上記の設定をしておき、それを選択し、テキストエディタで打ったテキストをコピー&ペーストをすればすべての段落が1字下げになります。
この他に「 Illustrator」や「InDesign」にも、「文字組みアキ量設定」がありますので、「先頭1字下げ」に限れば「文字組みアキ量設定」の方が便利です。でもインデントを熟知した方が何かと便利です。インデントの方法をぜひ理解してください。

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頭に●や■が入って、次の行から2文字目に頭揃えにしたい場合は、左側上の「左インデント」に「16H」と入力し、左側2番目の「1行目左インデント」に「-16H」と入力します。

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段落の1行目にタイトルが入って、他の文字を全て左から20mmに揃える場合、
左側上の「左インデント」に「80H」と入力し、左側2番目の「1行目左インデント」に「-80H」と入力します。
次にメニューの「ウインドウ」→「書式」→「タブ」で左揃えの20mm位置にタブを設定します。
1行目の「インデント」の文字の後ろにカーソルを入れ「tab」キーを押します。

「InDesign」は「インデント」の設定をやれば自動的に「インデント」位置に「tab」が設定されます。

「mm」と「H」の計算は簡単なので覚えると便利です。
1mm=4Hですから、20mm×4=80Hで直ぐに求めることができます。
それでも計算が面倒でしたら、環境設定の単位を変更しなくても、BOXに20mmと入力しても構いません。
勝手に単位は「H」に変わります。


「級」も「Q」も「歯」も「H」も全て写植(写真植字)の単位で、大きさはどれも同じで「1H」は「0.25mm」です。
全て同じ寸法ですが、正確には文字の大きさをの単位を「級」または「Q」。
文字以外の「字送り」や「行送り」の単位を「歯」または「H」を使います。


デザイン制作がMACによるDTP環境になり、文字の大きさの単位は「Point」に変わりましたが、日本で発明された写真植字の「1H」=「1Q」=「0.25mm」は「Point」の様に端数が出なく、きちんと割り切れるので、写植が使われなくなっても、級が便利と言う人もいます?(ン、もしかして私だけ?)

ロゴマーク制作初心者のために

デザイナーの仕事は寸法を正確に揃えるのではなく、揃って見える様にすることです。
前回と同じ様な内容ですがデザイナー初心者のためになればと思います。

前回も書いた様に、欧文のサンセリフ書体の「S」や「O」「G」など丸い部分が
「E」や「F」「H」などの直線部分より少しはみ出しているのも
同じ高さに見える様にするためです。

分かりやすい例として正方形の真ん中に丸い形と四角い形を配置する場合の考え方です。
丸い形は「G」や「O」「S」など、四角い形は「E」や「H」「N」などを
イメージしてください。
当然、丸い形の「O」の高さは四角い形の「E」の高さより大きく作ります。

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図-1の「a」、「b」、「c」のアキは全て同寸法で作ってみました。
目の錯覚で「a」、「b」が広く、「c」が狭く見えませんか?
理由は丸い形の上下の空間があるからです。

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丸い形と四角い形をブロックとし、それを正方形のベース上に配置する場合
図-2の様に「e」を一番狭くしなければなりません。
また左右のアキですが「d」と「f」の最短距離を同寸法にすると
左の丸い方の上下に空間があるため右の方が狭く見えてしまいます。

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図-3の「h」は図-2の「e」と同じですが丸い形の左側が
四角い形の右側と同じアキに見える様にするため「g」よりも「i」を少し広くしました。
「i」>「g」>「h」のアキになるのが理想です。

また前回書いた様に漢字の「日」の文字の横棒は中心より少し上に置いた方が真ん中に見え
バランスが良いです。

図-1も図-2も丸い形と四角い形のブロックは上下のアキの寸法が同じなので
下がって見えます。
図-3は「k」よりも「j」を少し広くしました。

どれくらい広くするかはその人のセンスですが、
同じ寸法にするのではなく同じに見える様に仕上げるのがデザイナーの仕事です。

画面の中心にロゴを配置する場合



私が昔、東京でデザイナーをやっていた時、
ある一流企業のカタログの表4の中央にロゴだけを配置した話です。
当然、私はロゴを中心より少しだけ上に置き、納品しました。

広報室のチェック担当の方が、ロゴの上の空きと下の空きを定規で測り、
「少し上が狭いので同じ寸法にして中心に置くように」と言いました。
エッ、言葉が出ないくらい私は驚いてしまい、どう反論して良いか困りました。

なぜなら、その担当者は一流美大のデザイン科卒の方です。
同席者が他にもいるので、ここで私の知識を披露してはその方に恥をかかせてしまう・・・
苦し紛れに、その場は一応ハイと言って帰りました。

帰ってから言われたまま同寸法にしたものを別に作り、他にも白い紙の中心に円を書き、
他にも「日」という文字を大きくプリントアウトしたものもつくり、
後日持参し、円の用紙を逆さにしても下が狭く見えることを説明しました。

あまりご納得の表情ではありませんでしたが
「日」という文字の空きスペースを定規で測り、中心の横棒が少し上にあることを確認し、
なんとか納得していただきました。

恐らくご気分を悪くされたかも知れませんが、その後もお付き合いを頂き一安心。
クライアント様には気を使いますが、間違ったことを指図通りにできない性格です。