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活字と写植とDTP

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活版印刷とは、鉛でできた「活字」の凸部分にインクを着け、紙に転写する印刷方式です。写真や画像を凸版でつくり、活字と組み合わせて印刷する場合は凸版印刷とも言います。

和文の場合は文字数が膨大に存在するため、あらかじめ使う活字だけを文選し、それをインテルなどとともに原稿に従って植字し、組版ステッキ上に並べ、数行ごとにゲラに移しながら版全体を作り上げていきます。
印刷が終わったら、インキを落として再利用ができます。

また、文字ごとに書体や大きさの違いもあり、それらを全て作業しやすい様に並べ保管する広い場所も必要で、いまのDTP環境と比較すると大変なことでしたが、近年まで書籍、新聞、雑誌など、文字印刷に関するものは大半が活字で印刷されていました。

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1924(大正13)年、写研の石井茂吉氏とモリサワの森沢信夫氏によって和文写植機が発明され、世界で初めて実用化されました。
実用写植機の研究はそれ以前から欧米でも行われていましたが、欧文は文字ごとに字幅が異なり、単語ごとにスペースを空けることやハイフンでつなぐなど、組版のジャスティフィケーションが難しいことが、大きな壁になっていたため実用化できませんでした。

これに対して和文は、活字と同じ様にすべての文字が正方形に収めて一定化できることに発明者の森沢氏は着目し、それが世界に先駆けた実用写植機の成功につながったと言われています。

しかし写植機でいくら美しい文字組みの版下を作っても、それを印刷するオフセット印刷の技術が当時はまだ低かったことや、写植書体の数も少なく、いずれも活字に比べて線が細く弱々しいということもあり、普及されませんでした。

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1955年代以降、高度経済成長の始まりとともに、広告ポスターやチラシなど商業印刷の需要が高まり、それらを印刷するためのオフセット印刷の技術が飛躍的に高まり、これにともなって写植版下の需要も多くなり、さまざまな書体も数多く開発され、設備が大変で取り扱いの面倒な活版印刷は文字印刷の主役から降り、写植全盛の時代となりました。

写植は名前の通り、ネガの状態の文字を写真植字機を使って写真を撮る様に印画紙やフィルムに印字して、それを版下マンが製版用の版下を作っていました。
活版印刷においては多くのサイズの活字を必要として大きなスペースが必要でしたが、写真植字ではコンパクトな文字ネガを用意すればよいので省スペースを実現できました。
他にも写真植字のメリットとして、文字のネガをレンズで拡大または変形して印画紙に焼き付けるので、独特の柔らか味があり、DTPが普及した昨今でも、タイトル文字など書体にこだわるデザイナーは写植を指定して使うケースもあります。
文字の大きさの単位をQ(または級)、文字の送りの単位をH(または歯)と呼びます。いずれも0.25mmを1Qまたは1Hとします。つまり20Qは5mmの大きさです。

1980年代後半にMACが上陸しましたが当時は書体が少なく、その後書体が増えると一気にグラフィックデザイン制作はMACに変りました。
DTPの発達によりキーボードをたたくだけで文字組版も画像もすべてを仕上がりに近い状態をカラーモニターで確認しながらデザインでき、製版まで可能となりました。

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活版印刷は、ごく限られたものにしか見られなくなってしまいましたが、活版印刷の全盛期を知らない若手のデザイナーの中では活版印刷の魅力に注目を浴びています。理由は、オフセット印刷では出ない質感でしょう。文字が紙にへこむことによって生み出されるアナログ的な手法で写し出される、どこか暖かみを持っている活版ならではの魅力にとりつかれる人も少なくはありません。

何でもコンピュータで処理する、いまの環境では、イラストや書なども含めた人間味のあるアナログ的手法が好まれ、よく見かける様になりました。今後も更に増えるかも知れません。
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