「目分量」の能力 -

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「目分量」の能力

「目分量」を辞書で調べると
目で見て、大体の分量をはかること。また、その分量。などと書いてあります。
「大雑把」と同義語で使う人もいますがそれはないと思います。
「大雑把」は辞書で調べると
細部にまで注意が届かず、雑であるさま。などと書いてあります。

グラフィックデザインの世界で「大雑把」はいただけませんが「目分量」や「目感」の能力は大切です。
料理にも「目感」とか「さじ加減」などの言葉を使うと聞いています。

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グラフィックデザインがデジタルで制作する様になる以前、
例えば表組の高さ5mmの罫線の真ん中に写植の文字を貼付ける場合、新人は定規で測ろうとしました。
また左右の傾きも三角定規で一生懸命に切り口を水平に合わせ様としました。

ベテランはこの作業を定規を使わずに「目分量」や「目感」でやります。
なぜなら1mm単位の定規で、例えば文字と罫線の間を0.8mmアキにするなど測れないので
「目分量」や「目感」に頼るしかありません。
写植の文字を正確に水平にカットしていなければ三角定規でカット面を合わせても水平にはなりません。
「目分量」や「目感」が一番正確です。
言い換えれば、デザインの仕事は中央に揃えるとか左に揃えるとかではなく、揃って見える様にするのが仕事です。
上の「DESIGN」の文字も若干少し上に配置した方が真ん中に見えます。

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英文も和文もフォントの縦棒が横棒よりも少し太くつくられているのは、同じ太さでつくると
横棒が太く見えるからです。
また「日」の文字の真ん中の横棒は中心より少し上に位置します。
正確に中心に置くと下がって見えるからです。
また、上下の横棒より真ん中の横棒が少し細くつくられているのも同じ太さに見える様にするための工夫です。

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欧文のサンセリフ書体の「S」や「O」「G」「U」など丸い部分が少しはみ出ているのも
同じ高さに見える様にするためです。
また1行目の先頭に「V」や「A」など左端が尖っていたり「T」など下に空間がある場合、
2行目の先頭に「D」や「B」など垂直線が左端にある場合、
きちんと左端を揃えると「V」や「A」や「T」が内側に入って見えるため揃って見えません。
これらも「目分量」で揃って見える様に調整する必要があります。

デジタルで制作する様になってからグラフィックデザイナーの中には
「目分量」や「目感」の能力が不足している様に思いますが、不足と言うか意識すらしない人もいます。
理由はソフトが自動的に揃えてくれるのでソフトに頼りすぎてその意識が昔ほどではなくなったのでしょう。

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上の「ViSUAL」「DESIGN」をそれぞれグループにし「整列」で左端に揃えると「V」と「D」の左端が
きちんと揃います。
これできちんと正確な仕事をしたと思っていてはデザイナーとしては未熟です。
どれくらいはみ出させるかはその人のセンスですが「V」が全くはみ出ていないのは問題です。

この様な話をすると若いデザイナーの中には「目分量」よりもっと大切なものがあると言う人もいますが
できるデザイナーは「目分量」は基本中の基本で当然の能力として持ち合わせています。
繊細な「目分量」の能力を大切にしたいものです。


※大雑把の意味は他にも「いい加減」や「適当」と言う意味もあります。
「いい加減」は「いい加減なヤツ」など無責任で悪い印象で使われていますが元々は「好い加減」という
 意味ですから好ましい意味です。
「適当」も「適当な返事」「適当にあしらう」は良くありませんが、
 元々「適当」とは「ある条件・目的・要求などに、うまくあてはまること」や「適切な場所に置く」など
 好ましい意味です。
 日本語って難しいです。


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